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220ドル安、景気減速懸念が重し
【市況】220ドル安、景気減速懸念が重し

5日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比220ドル43セント(0.48%)安の4万5400ドル86セントで終えた。5日朝発表の8月の米雇用統計は労働市場が一段と減速していることを示した。米景気悪化への懸念が強まり、主力株に売りが優勢になった。
 
朝方発表された8月の米雇用統計は、非農業部門就業者数の伸びが市場予想を大きく下回った。
 
ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(7万5000人増)を下回った。7月分は小幅に上方修正された一方、6月は1万4000人増から1万3000人減に引き下げられた。前月比で減少するのは2020年12月以来。8月の失業率は4.3%と、21年10月以来の水準に上昇した。
 
 
米連邦準備制度理事会(FRB)が今月中旬の金融政策会合で利下げを再開するとの観測が強まり、市場は当初買いで反応。ただ、景気への不安から売りに流れが転じた。
市場参加者からは雇用統計について「これまで堅調だったヘルスケア業界などを含め、全般的に弱さがみられた」との声が聞かれた。金融市場では、FRBの今月の利下げ幅が0.25%にとどまらず、0.50%になるとの見方も一部浮上している。
 
「労働需要の減速ペースは供給を上回る」(シティグループ)と受け止められた。雇用を巡る不透明感が強まれば、米経済を支える消費も減速するとの懸念につながった。「企業の収益も伸び悩みかねず、米株の割高感が広がるなかで売りを誘った」との声が聞かれた。
 
S&P500種株価指数は前日に最高値を更新していた。主要な米株価指数が高値圏で推移するなか、市場予想を下回る雇用統計を受けて利益を確定する売りが広がりやすかった。ダウ平均の下げ幅は一時400ドルを超えた。
 
取引開始直後にダウ平均は上昇し、8月28日に付けた最高値(4万5636ドル)を上回る場面があった。市場では米連邦準備理事会(FRB)が9月に0.25%の利下げを決めるとの観測が根強いなか、利下げ幅を0.5%にするとの見方も一部で浮上した。連続利下げで年末までに0.75%下げる可能性も意識され、株式相場を支えた面があった。
 
ダウ平均の構成銘柄ではないが、半導体のブロードコムが9%高で終えた。前日夕に発表した2025年5〜7月期決算が市場予想を上回ったほか、人工知能(AI)向けで大規模な受注があったことも明らかにし、好感した買いを集めた。AI需要は強いとの見方は投資家心理を支えた。
 
ダウ平均の構成銘柄ではJPモルガン・チェースやシェブロン、ビザが売られた。エヌビディアやマイクロソフトといったハイテク株も下げた。一方、前日に下げが目立ったセールスフォースは買われた。シャーウィン・ウィリアムズやホーム・デポ、ユナイテッドヘルス・グループも上昇した。
 
ナスダック総合株価指数は3日ぶりに小幅に反落し、前日比7.306ポイント(0.03%)安の2万1700.388(速報値)で終えた。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やパランティア・テクノロジーズが下げた。
 
一方、テスラは買われた。取締役会がイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の新しい報酬案を同日に示したことが材料視された。アルファベットやメタプラットフォームズなども買われ、指数の下値を支えた。
 



【シカゴ日本株先物概況】
5日のシカゴ日経平均先物は小幅に上昇した。9月物は前日比10円高の4万2890円で終えた。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測などを背景に日経平均先物に買いが入った。
 
 
シカゴ日経225先物 (円建て)
42890 ( -180 )
 
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
42910 ( -160 )
 
( )は大阪取引所終値比






【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
 
5日の英FTSE100種総合株価指数は小幅ながら3日ぶりに反落し、前日比8.66ポイント(0.09%)安の9208.21で終えた。原油の需給が緩むとの警戒感から原油先物の相場が軟調に推移した。石油大手の英シェルとBPがともに売られ、指数の重荷となった。
 
石油輸出国機構(OPEC)と非加盟のロシアなどで構成する「OPECプラス」の有志国は7日に会合を開く。5日には米ブルームバーグ通信が関係者の話として、サウジアラビアが追加の増産検討を求めていると報じた。外国為替市場でポンド高・ドル安が進み、多国籍企業の株価の重荷となった面もあった。
 
FTSEの構成銘柄では、自動車保険のアドミラル・グループが2.96%安、石油大手BPが2.64%安、金融大手バークレイズが2.48%安と下げを主導。一方、賭け屋大手エンテインは3.35%高、住宅大手バークリー・グループは3.02%高、建機レンタルのアシュテッド・グループは2.82%高と買われた。



■ドイツ・フランクフルト株価指数
 
5日のドイツ株価指数(DAX)は3日ぶりに反落し、前日比173.35ポイント(0.72%)安の2万3596.98で終えた。5日発表の米雇用統計は市場予想より弱い内容だと受け止められた。米国で月内に利下げが決まるとの期待は出るものの、米経済の減速が改めて意識され、リスク資産とされる株式への買いが弱まった。
 
個別では、業務用ソフトウエア大手SAPが2.12%安、航空機エンジン大手MTUエアロ・エンジンズが1.87%安、総合電機大手シーメンスが1.76%安と下落。半面、医療機器のザルトリウスは2.60%高、不動産大手ボノビアは2.49%高、エネルギー大手イーオンは1.68%高で取引を終えた。


■フランス・パリ株価指数

欧州株式市場でフランスの株価指数CAC40は続落し、前日比0.31%安で終えた。