「喜劇的光景」
「喜劇的光景」 |
「喜劇的光景」
米国株式市場は4日ぶりの反落。
NYダウの下落幅は173ドルだったが引け前10分で90ドル近く下落幅を拡大した。
このところ買戻しの継続で株価は戻し基調での続伸。
しかし金利の低下で金融セクターが軟調になったことを悪材料視したとの解釈。
「金利上昇の株高、金利低下の株安」の格好は継続。
そしてこの連立方程式を解けないのが市場という見方もできよう。
結局は週末のジャクソンホールでのFRBパウエル議長講演待ち。
これが如実に現れたのが売買エネルギーの低下。
主要3市場の売買高は57.5億株(過去20日平均75.6億株)と低下した。
トランプ大統領は「政府が減税の可能性を検討している。
ただ現時点で何らかの措置を実施するという意味ではない。
給与税の減税についても常に検討している」とコメントしたが影響は限定的。
好決算のホーム・デポが上昇。
ディズニー、フェイスブックが下落。
10年国債利回りは前日の1.59%から1.55%に低下。
「イタリア連立政権崩壊への懸念や合意なき英EU離脱に対する不安感が安全資産の追い風」という解釈だ。
債券利回りの低下はドルの下落に結びついた格好でドル円は106円台前半。
「ジャクソンホールでパウエル議長がハト派発言をすれば米国債利回りは低下しドルもつれ安。
反対に一段とタカ派となれば安全資産が買われることになる」との声。
市場関係者の見方だが、この見解ではいずれにしても市場は円高予測としか考えられない。
ジャクソンホールを通過してしまえば忘れ去られるシナリオだろうが。
数日は効くのかも知れない。
恐怖と欲望指数は26ポイント→23ポイントに低下。
火曜の日経平均は寄り付き42円高、終値114円高と3日続伸。
日足は陽線となった。
後場はジリジリと上昇幅を拡大した姿はこれまでとは違う展開。
小動きながら大引けがほぼ高値圏。
TOPIXとマザーズは高値引けとなった。
もっとも「NYの大幅高の割には伸び悩んだ印象も強い」という声もある。
東証1部の売買代金は1兆5837億円と5日連続の2兆円割れ。
値上がり1729銘柄、値下がり347銘柄。
新高値49銘柄。新安値30銘柄。
明確に新高値銘柄数が新安値銘柄数を上回った。
騰落レシオは87.91。
NTレシオは113.72倍。
25日線からは2.0%、200日線からは2.9%のマイナスかい離。
松井証券信用評価損益率速報で売り方▲8.419%。
買い方▲12.626%。
マザーズ銘柄ネットストック信用評価損益率で売り方▲4.902%。
買い方▲16.745%。
空売り比率は43.4%と低下したものの108日連続の490%超。
8月16日時点の信用買い残は170億円増の2兆3794億円。
同信用売り残は124億円増の8755億円。
日経HVは13.8、日経VIは18.14。
東証REIT指数は8日続伸。
日経平均採用銘柄のPERは11.71倍でEPSは1765円。
PBRは1.03倍でBPSは20074円と低下。
ドル建て日経平均は17日連続の200ポイント割れ。
シカゴ225先物終値は大証日中比180円安の20480円。
高値20660円、安値20465円。
NYの一服に連れ安の様相だが、明日の「株高の日のアノマリー」へのすくみでもあろうか。
9日のマド20676円は昨日ザラバで埋めた。
下にマドを埋めるのなら16日の20465円。
昨日サポートなったのはボリンジャーのマイナス1σ20600円。
その先のマイナス2σ20104円はいくらなんでもないだろう。
勝手雲の下限は20746円、上限は20966円。
気学では「後場不時高をみる日。悪目あれば買い狙え」。
木曜は「案外弱き日なり。戻り売り方針良し」。
金曜は「高下しても結局安き日。吹き値売り狙え」。
今年14勝17敗の水曜日。
「すくみも柔軟体操も必要」と悲観的でなく考えたいところ。
「仕切り直し」というところか。
昨年の日経平均は8月21日から8連騰だったのが歴史。
ちなみに昨年のジャクソンホール時点からNYダウとS&P500は約1%高。
日経平均は約9%安だ。
★曜日別勝敗
(8月20日まで)
↓
月曜18勝9敗。
火曜17勝15敗。
水曜14勝17敗。
木曜12勝18敗。
金曜19勝13敗。
人類初のマイナス金利を是とする気持ちはさらさらない。
今朝の「大機小機」が指摘しているように「既存の金融政策では成長の処方箋が描けなかったから」。
それはあるだろう。
しかし「MMT理論のような議論が巻き起こるのは、通貨戦争の行き着いた先に出口が見えない中での必然だ。
それは同時にもっと怖い財政破綻に至る道へと誘い込む悪魔のささやき」とも思えない。
インフレとデフレ。
どちらが怖いかといえばインフレだろう。
しかしそのインフレがないのだから、逆に金融は安定しているとも考えられる。
むしろ低成長は成熟国家の必然でもあろう。
デフレということは物は充足している、あるいは余っているということの裏返し。
この30年、デフレを材料にデモやストライキが発生したことはない。
しかしインフレの時は一般大衆の怨嗟の声は極端に大きくなってきたのが歴史。
この30年のデフレで多くの人が困ったという市場関係者もいるが本当にそうなのだろうか。
ここは疑問だ。
口に出さなくても、デフレの方がインフレよりも心地は良いのではなかろうか。
適度なインフレを望むことは必要。
しかしそれが極端なインフレに発展しないという保証はない。
この方程式もなかなか解が見つからない問題だ。
昨日日経夕刊。
1面トップの見出しが目についたので久しぶりに読んだ。
その見出しは「米経済界、株主第一を見直し」。
資本主義の代表国家アメリカが株主重視から「従業員配慮宣言」。
これだけ見たらアメリカは社会主義国家に変身したのかとさえ思えてしまう。
米主要企業の経営者団体、ビジネスラウンドテーブルの宣言の内容である。
「株価上昇や配当増加など投資家の利益を優先してきた米国型の資本主義にとって大きな転換点」だ。
ビジネスラウンドテーブルは97年から「企業は株主のために存在する」と明記。
今回の見直しは「従業員や地域社会への投資継続を約束するもの」だという。
この変身をどう捉えるかが今後の市場のテーマとなる。
そして、あれだけ日本の市場が羨望と憧憬を持ってきた「グローバル」という思考は一気に変化する。
憧れて求めてきたものは実は間違いで、青い鳥は足元にいたということだ。
何十年も東京市場が自虐的に否定してきた日本的経営こそがアメリカの経営者の求めるものになった。
このパラドックスは見事だというか、喜劇的光景だ。
「従業員を家族のように大切にし、地域社会への貢献を重視する経営」。
否定してきたものが一転「グローバル・スタンダード的」になる。
この変化に気がつけば、東京は世界のリーダー的市場になれるのかも知れない。
東京市場復活宣言記念日と言っても良いような気がする。
ちなみにビジネスラウンドテーブルが掲げた「全利害関係者への約束」。
(1)【顧客】顧客の期待に答えてきた伝統を前進させる。
(2)【従業員】公正な報酬の支払いや福利厚生の提供。
(3)【取引先】規模の大小を問わず、取引先を良きパートナーとして扱う。
(4)【地域社会】持続可能な事業運営で、環境を保護する。
(5)【株主】長期的な株主価値の創造に取り組む。
このビジネスラウンドテーブルにはJPモルガン、アマゾンなど主要企業のCEO181人が名前を連ねている。
NYダウは173ドル安の25962ドルと4日ぶりの反落。
NASDAQは54ポイント安の7948ポイント。
S&P500は23ポイント安の2900ポイント。
ダウ輸送株指数は75ポイント安の10006ポイント。
SOX指数は0.54%の下落。
VIX指数は17.51。
3市場の売買高は57.5億株と減少(過去10日平均は75.6億株)。
225先物CME円建ては大証日中比180円安の20480円。
ドル建ては大証比175ポイント安の20485ポイント。
大証夜間取引終値は日中比170円安の20490円。
ドル円は106.22円。
10年国債利回りは1.552%。
◇━━━ カタリスト━━━◇
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やまびこに注目する。
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(兜町カタリスト櫻井)