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309円安と続落 金利低下で銀行に売り、半導体も下落
東京株式(前引け)=309円安と続落 金利低下で銀行に売り、半導体も下落

 
5日午前の日経平均株価は続落し、午前終値は前日比309円86銭(0.80%)安の3万8527円60銭だった。
きょう前場はリスクオフの地合いが加速し、日経平均は一時500円近い下げをみせる場面があった。前日の欧州株市場がほぼ全面安に近い形となったが、米国株市場では米長期金利の低下を好感して、主要株価指数が揃って上昇した。しかし、外国為替市場でドル売りの流れが強まり、一時1ドル=154円台まで急速に円高方向に振れたことが、東京株式市場では東エレクやアドテストがそろって下落して相場を押し下げた。国内金利も低下基調にあることで銀行株も安い。一方、不動産など内需株に物色の矛先が向いたことで、日経平均も売り一巡後は下げ渋る展開となっている。なお、個別株は全体の7割の銘柄が下落した。
 
主要な米半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が4日に0.7%下落したのを受け、東京市場でも半導体関連に売りが膨らんだ。米空売り投資家が「不正会計の典型的な事例」と指摘したレーザーテクはきょうを入れて7日続落と下げが目立っている。
 
4日発表の4月の米雇用動態調査(JOLTS)では非農業部門の求人件数が2021年2月以来の低水準となり、発表後に米長期金利は低下した。米長期金利の低下につれて5日の国内債券市場では長期金利が一時1%を下回った。業種別では金利の上昇局面で買われてきた保険や銀行といった金融セクターが大きく下げた。半面、金利低下が業績の追い風になりやすいとされる不動産株は上昇した。日経平均の構成銘柄では三井不や住友不が買われた。
 
厚生労働省が5日朝に発表した4月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で0.7%減少し、25カ月連続でマイナスとなった。日銀の早期利上げ観測を後押しする材料にはなりづらいとの受け止めが多かった。
 
国債買い入れを巡っては、ブルームバーグ通信が4日夕に日銀が来週の金融政策決定会合で「長期国債の買い入れの減額についてより具体的な方針を示すことの是非を含めて議論する公算が大きい」と伝えた。ただ、減額のペースなど踏み込んだ方針まで示すかは慎重な見方もあるなかで、日銀の政策修正を織り込む動きはきょうの午前は強まらなかった。日経平均も前引けにかけては下げ渋った。
 
外国人投資家の買いが途絶えていることなどから、東京エレクトロン、アドバンテストなど値がさ半導体株はさえない。外国人投資家の買いを誘う材料に乏しい状況下、けん引役でもある半導体株が重いままだと、日経平均は3万8000円から3万9000円の狭いレンジは今しばらく続きそうだ。日経平均は25日移動平均線が位置する3万8576円を下回っているが、下げ幅を縮小していることから、後場は25日移動平均線を挟んだもみ合いを想定する。

 
 
 
東証株価指数(TOPIX)は続落した。前引けは32.24ポイント(1.16%)安の2755.24だった。JPXプライム150指数は反落で前場を終えた。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆3978億円、売買高は8億6061万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1164と全体の約7割を占めた。値上がりは430、横ばいは54だった。
 
 
業種別では、保険業、海運業、鉱業、非鉄金属、鉄鋼などが下落した一方、不動産業、医薬品、電気・ガス業、精密機器、陸運業などが上昇した。
 
個別では、売買代金トップのレーザーテック、同2位のディスコがいずれも軟調なほか、東京エレクトロン、アドバンテスト、TOWAなど半導体製造装置関連が安い。三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクも売りに押された。トヨタ自動車が軟調、リクルートホールディングスも大きく利食われた。このほか、博報堂DYホールディングスが急落した。KDDI、豊田通商が下落した。
半面、ソフトバンクグループ(SBG)が逆行高、霞ヶ関キャピタルも上昇、第一三共も買いが優勢だった。永谷園ホールディングスが値上がり率トップ、ロート製薬、ファストリ、ソニーG、ニトリHDが上昇した。