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3日続伸、450ドル高 雇用鈍化で利下げ観測
【市況】3日続伸、450ドル高 雇用鈍化で利下げ観測
 
3日のNYダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比450ドル02セント(1.17%)高の3万8675ドル68セントで終えた。
 
朝方発表された4月の米雇用統計は、非農業部門就業者数が前月から17万5000人増と伸びが大幅に鈍り、予想も下回った。平均時給は前月比の上昇率が0.2%と市場予想(0.3%)以下となり、失業率は前月と市場予想に比べ0.1ポイント高い3.9%だった。賃金上昇率の減速でインフレ再燃の懸念が後退。9月に米利下げが始まるとの期待が維持され、米長期金利が低下し、ハイテク株など幅広い銘柄の買いが膨らんだ。
自社株買い計画が好感されたIT大手アップルや、肥満治療薬の開発が順調に進んでいる製薬大手アムジェンが大幅高となり、ダウ相場をけん引。ダウの上げ幅は一時580ドルを超えた。
 
市場では、米労働市場の過熱感が薄れる方向にあるとの見方が広がった。「労働市場は引き続き底堅いものの、FRBにとっては(物価上昇率が)インフレ目標の2%に向かっているとの自信を深めるものだった」との受け止めがあった。
 
賃金インフレの長期化でFRBの利下げ転換まで時間がかかるとの警戒が薄れ、米債券市場では長期金利が低下(債券価格は上昇)。4.5%前後と、前日終値(4.58%)を下回る水準で推移した。株式の相対的な割高感が薄れたとみた買いも株式相場を支えた。
 
ダウ平均の構成銘柄では、アムジェンが大幅高。前日比12%高で終え、指数を押し上げた。前日夕に2024年1〜3月期決算の発表と併せて、肥満症治療薬の開発が順調に進んでいると明らかにした。収益貢献への期待から、買いが広がった。
 
アップルは6%高だった。前日発表の24年1〜3月期決算では減収減益となったものの、売上高と1株利益が市場予想以上だった。増配と自社株買い枠の追加も発表し、好感した買いが入った。
 
ただ、インフレ圧力は根強い。3日発表の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業(サービス業)景況感指数は49.4と、好不況の境目とされる50を下回り、市場予想(52.0)以下だった。個別項目では「価格」の伸びが加速した。市場では「高金利下でも、まだある程度のインフレの兆しがみられることが上値を抑えた」との声も聞かれた。
 
その他の個別銘柄では、マイクロソフトやホーム・デポ、インテルなどが高かった。半面、マクドナルドやJPモルガン・チェース、シェブロンは売られた。
 
ナスダック総合株価指数は大幅に続伸した。前日比315.370ポイント(1.99%)高の1万6156.328で終えた。エヌビディアやメタプラットフォームズの上げが目立った。
 


【シカゴ日本株先物概況】
 
3日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比485円高の3万8360円で終えた。
NYダウ平均は、米雇用統計が弱含んだことを受けて利下げ観測が台頭し、3日続伸した。
同日の米株式市場で主要3指数が上昇した。投資家心理が改善し、シカゴ市場の日経平均先物は買いが優勢だった。
 
 
シカゴ日経225先物 (円建て)
38360 ( +170 )

シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38385 ( +195 )
 
( )は大阪取引所終値比







【欧州株式市場】


■イギリス・ロンドン株価指数
 

3日のFTSE100種総合株価指数は続伸し、連日で最高値を更新した。終値は前日比41.34ポイント(0.50%)高の8213.49だった。3日発表の4月の米雇用統計で雇用者の前月比増加数などが市場予想を下回り、米国での利下げ開始時期が遅くなるとの懸念が後退した。3日の米株式相場の上昇や米英の長期金利低下が、投資家心理を支えた。

英航空・防衛大手BAEシステムズや航空機エンジン大手のロールス・ロイス・ホールディングスなど資本財関連の銘柄が買われ、指数を押し上げた。金融や不動産・建設株にも買いが優勢だった。エネルギー株は下落した。

FTSEの構成銘柄では、保険大手フェニックス・グループ・ホールディングスが6.45%高、住宅大手バークリー・グループが4.96%高、同業パーシモンが4.67%高と上昇を主導。一方、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループは2.05%安、保険大手ビーズリーは1.56%安、産金大手フレスニロは1.52%安となった。




■ドイツ・フランクフルト株価指数

3日のドイツ株価指数(DAX)は4営業日ぶりに反発し、前日比105.10ポイント(0.58%)高の1万8001.60で終えた。3日発表の4月の米雇用統計が市場予想より弱い内容となり、米国での利上げ開始時期が遅くなるとの懸念後退につながった。米欧の金利低下も好感された。

個別では、日用品大手ヘンケルが7.22%高、防衛大手ラインメタルが4.72%高、不動産大手ボノビアが3.12%高と買われた半面、3日公表した2024年1〜3月期決算で、欧州での受注が減少した商用車大手ダイムラー・トラックは3.76%安、ミュンヘン再保険は1.78%安、コメルツ銀行は1.47%安で取引を終えた。
 



■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は0.54%高(同1.62%安)だった。

この日発表された4月の米雇用統計は、景気動向を反映する非農業部門就業者数が前月比17万5000人増と、3月(31万5000人増)から大幅に縮小。これを受け、市場では米早期利下げ観測が再燃し、株価の押し上げ材料となった。