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198円安と続落、早期の米利下げ観測が後退
東京株式(前引け)=198円安と続落、早期の米利下げ観測が後退

 
11日午前の日経平均株価は続落し、午前終値は前日比198円08銭(0.50%)安の3万9383円73銭だった。下げ幅は一時500円を超えた。
 
きょう前場は時価総額上位の主力株をはじめ総じて買いが手控えられる展開に。朝方に日経平均は500円以上の下落で3万9000円トビ台まで突っ込む場面があった。前日の米国株市場では、発表された3月の米消費者物価指数(CPI)が予想よりも強い内容で、米長期金利上昇を背景に株式の割高感が意識されNYダウが大きく下値を探る展開となった。東京市場でもこの流れを引き継ぎリスク回避の売りが優勢となっている。ただ、外国為替市場での円安進行などを背景に売り一巡後は下げ渋り、前引け時点で日経平均の下げ幅は200円を下回っている。
 
3月の米CPIの上昇率が市場予想を上回ったのを受け、FRBの利下げ時期が当初予想の6月から7月か9月にずれ込むとの見方が広がっている。米金利の高止まりが続けば、PER(株価収益率)の高いハイテク株を中心に株式の相対的な割高感が意識されやすいとの受け止めから、11日の東京株式市場では値がさの半導体関連株をはじめ幅広い銘柄に売りが出た。
 
売り一巡後は下げ幅を縮小した。外国為替市場では円相場が34年ぶりに一時1ドル=153円台に下落するなど、円安・ドル高が進行している。輸出採算が改善するとの期待からトヨタなど自動車関連株の一角には押し目買いが入り、東証株価指数(TOPIX)は上昇に転じる場面もあった。
 
TOPIXは続落し、前引けは0.80ポイント(0.03%)安の2741.99だった。JPXプライム150指数は続落し、2.73ポイント(0.23%)安の1183.66で前場を終えた。
 
 
為替が1ドル153円台に入ったことで、政府・日銀による円買い介入への警戒が高まっていることから、株式市場は円安進行を素直に好材料視できない状況と言えよう。今のところ、政府関係者による口先介入に留まっており、為替市場は様子見といったところだが、時間外の米10年債利回りが4.5%台を維持していることから、日米金利差拡大の思惑から円安ドル高がまだ進む可能性はあろう。後場も為替を横目に見た神経質な展開となり、日経平均が切り返すのは難しいと考える。
 
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆1568億円、売買高は8億1867万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1064。値上がりは535、横ばいは53だった。
 
業種別株価指数(33業種)は不動産業、建設業、精密機器などが下落。鉱業、銀行業などが上昇した。
 
個別ではレーザーテック、東京エレクトロン、SCREENホールディングスなどが軟調、東京電力ホールディングスも利益確定の売りに押された。ファーストリテイリングやソフトバンクグループ(SBG)、KDDIも値を下げた。吉野家ホールディングス、サイゼリヤが急落、パルグループホールディングスなども値を下げた。三井不や安川電、NTTデータが下落した。
 
半面、ソシオネクストが商いを伴い上昇、ディスコも買いが優勢だった。ファナックや日立建機、三菱重が高い。三井住友フィナンシャルグループなどメガバンクが値を上げ、日立製作所も高い。有沢製作所がストップ高人気となったほか、トレジャー・ファクトリー、MonotaRO、コシダカホールディングスなどが値を飛ばした。