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188円高と反発 円安や金利上昇が追い風
東京株式(前引け)=188円高と反発 円安や金利上昇が追い風

 
10日午前の日経平均株価は反発し、午前終値は前週末比188円26銭(0.49%)高の3万8872円19銭だった。
 
きょう前場は強弱観対立のなかも、朝方から日経平均は上値を指向する展開となった。前週末に発表された5月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数の伸びが市場予想を大きく上回ったほか、平均時給の伸び率もやや加速したことで、FRBによる早期利下げ期待が後退した。ただ、米国株はこれを特段嫌気する動きとはならず、NYダウ、ナスダック総合株価指数ともに安かったものの下げ幅は小さかった。これを受けて、東京株式市場でも不安心理が緩和され、広範囲に買い戻しが優勢となっている。米長期金利上昇を背景に外国為替市場で円安方向に振れたことも輸出セクターに追い風となった。
 
外国為替市場で円安・ドル高が急速に進行していることを受けて輸出関連株などが買われた。日米の長期金利の上昇を手掛かりに、保険や銀行といったバリュー(割安)株の上昇も目立った。円安をきっかけに海外短期筋とみられる先物買いも膨らみ、上げ幅は一時200円を超えた。
 
前週末発表の5月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が市場予想を上回り、米労働市場の強さが意識されて米長期金利が上昇した。米雇用統計の発表後は日米金利差を意識した円売り・ドル買いが膨らみ、円相場は1ドル=157円台まで下落。東京株式市場ではトヨタやファナックなどが買われた。
 
日銀は13〜14日に開く金融政策決定会合で政策金利は維持しつつも、国債買い入れの減額を具体的に検討するとの見方が根強い。午前の国内債券市場では長期金利が1%台まで再び上昇し、金利上昇の恩恵を受けやすい保険株や銀行株の上げも目立った。
 
市場ではきょうの相場上昇について「注目を集めていた米雇用統計がいったん通過した安心感もあり、取引を控えていた投資家の運用リスクをとる動きが強まった」との見方もあった。

 
 
東証株価指数(TOPIX)は反発した。前引けは19.34ポイント(0.70%)高の2774.37だった。JPXプライム150指数は続伸し、4.43ポイント(0.36%)高の1218.82で前場を終えた。
 
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で1兆6345億円、売買高は6億7776万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1262。値下がりは338、横ばいは47だった。
 
プライム市場の売買代金は1.6兆円台に留まっており先週末同様、商い閑散となっている。今週は日米の中央銀行会合が予定されていることから、商い閑散で方向感に乏しい地合いは続くと想定。一方、週末の日本銀行による金融政策決定会合開催を受けて、債券市場は思惑先行の地合いとなりやすいことから、金利動向も要注意となろう。後場は前場同様、商い閑散のなか金利動向をにらんだ地合いを想定。3万9000円台を試す可能性はあるが、買いは続かないと考える。
 
 
業種別株価指数(33業種)は保険業、石油・石炭製品、ゴム製品、輸送用機器などが上昇した。下落は海運業、その他製品など。
 
個別銘柄では、長期金利上昇を受けてSOMPOホールディングス、第一生命ホールディングス、T&Dホールディングス、東京海上など保険株が上昇したほか、三菱UFJフィナンシャル・グループも高い。ソシオネクスト、SUMCO、レーザーテックなど半導体の一角も堅調。このほか、シャープ、日立、富士通が買われた。シーイーシーが値上がり率トップに買われ、カナモトも急騰、ミガロホールディングス、安田倉庫も値を飛ばした。
 
一方、証券会社のネガティブなレポートを受けて花王が売られたほか、日本郵船、川崎汽船、商船三井など船株も弱い。このほか、積水ハウス、アステラス製薬、大成建設が売られた。エムスリー、楽天グループは下げた。ディスコが値を下げ、任天堂も冴えない。M&A総研ホールディングスが急落、一時値幅制限いっぱいに売られた。ストライクも大幅安。M&Aキャピタルパートナーズ、日本M&Aセンターホールディングスの下げも目立つ。