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5日続落、475ドル安 中東緊張で
【市況】5日続落、475ドル安 中東緊張で

12日のNYダウ工業株30種平均は5日続落し、前日比475ドル84セント(1.23%)安の3万7983ドル24セントと1月下旬以来の安値で終えた。5日続落は6日続落した2023年6月以来。

インフレや地政学リスクを巡る懸念が投資家心理の悪化につながった。朝方に四半期決算を発表したJPモルガン・チェースが大幅安となり、ダウ平均を下押しした。  

米国のインフレの沈静化に時間がかかり、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始が市場の想定より遅れるとの懸念が強まっている。

ミシガン大学が12日に発表した4月の消費者調査では、1年後の予想インフレ率は3.1%と3月(2.9%)から上昇した。
一方、消費者態度指数は77.9と市場予想(79.9)に反して3月(79.4)から低下した。高金利環境が長引き、経済を下押しすることへの警戒も相場の重荷となった。  

地政学リスクも買い手控えにつながった。この日、イランがイスラエルに対し報復攻撃に踏み切る恐れがあると報じられた。「週末に何が起きるか分からない」との見方から、株取引を手じまう売りが広がった。早期の米利下げ観測の後退や、銀行決算の内容が市場予想を下回ったことも株価を下押しした。

市場では「中東情勢を巡る不透明感が強く、高値圏に浮上してきた米株相場には利益確定売りが広がりやすい」との見方があった。原油供給にも悪影響が出るとの懸念から、米原油先物相場が上昇し、一時は1バレル87ドル台と期近物として約5カ月半ぶりの高値を付けた。エネルギー高もインフレ圧力を強めるとの懸念につながった。

ダウ平均の下げ幅は一時580ドルを超えた。

低水準で推移していた米株の変動性指数(VIX)は12日、前日比約16%高い17台となった。23年10月以来となる19台に乗せ、不安心理が高まった状態とされる20に迫る場面があった。  

ダウ平均は週間で920ドル下げた。下げ幅は23年3月以来の大きさとなった。 

個別銘柄では、JPモルガン・チェースが大幅安となった。24年1〜3月期決算の発表時に示した24年12月期通期見通しで、経費が1月時点の予想より増えたうえ、純金利収入が市場予想に届かなかった。   インテルも下げが目立った。中国が自国内の通信網から外国製半導体の締め出しを進めていることを巡り、「インテルとアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)に影響がありそうだ」と米紙ウォール・ストリート・ジャーナル電子版が12日に伝えた。  

このほか、ウォルト・ディズニーやボーイング、ゴールドマン・サックスの下げが目立つ。アマゾン・ドット・コムとマイクロソフトも安い。一方、アップルは買われた。  

ナスダック総合株価指数は反落した。前日比267.104ポイント(1.62%)安の1万6175.094で終えた。前日に過去最高値を更新した後で、週末を前にした持ち高調整の売りが出やすかった。エヌビディアやAMDといった半導体関連が軒並み安い。メタプラットフォームズとアルファベットも下げた。      

 

【シカゴ日本株先物概況】
 
12日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比770円安の3万8865円で終えた。
NYダウ平均は、中東情勢の緊迫化を背景に高リスクの株を手放す動きが加速し、5日続落した。
同日の米株式相場が下げ、日経平均先物にも売りが波及した。
 
 
シカゴ日経225先物 (円建て)
38865 ( -685 )

シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38900 ( -650 )

( )は大阪取引所終値比







【欧州株式市場】


■イギリス・ロンドン株価指数

12日のFTSE100種総合株価指数は反発し、前日比71.78ポイント(0.90%)高の7995.58で終えた。中東情勢が一段と緊迫しかねないとの懸念から原油の先物相場が上昇し、英シェルなどエネルギー株に買いが入った。

国際商品市場では12日、中国経済の回復期待から銅やアルミニウムの先物相場が上昇。金やプラチナといった貴金属も前日比で高く推移する場面があり、英豪リオティントなど鉱業株が上げた。スイスの資源大手グレンコアは、一部金融機関が目標株価を引き上げたのも好感された。12日発表の2月の英国内総生産(GDP)が前月比0.1%増と、2カ月連続で増加を確保したことも、投資家心理を支えた。

 

FTSEの構成銘柄では、産金大手フレスニロが7.61%高と上昇率トップ。資源大手グレンコアが5.10%高、鉱業大手アングロ・アメリカンが3.67%高と上昇した。一方、格安航空大手イージージェットが4.25%安、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は3.81%安だった。





■ドイツ・フランクフルト株価指数

12日のドイツ株価指数(DAX)は続落し、前日比24.16ポイント(0.13%)安の1万7930.32で終えた。終値として3月中旬以来、1カ月ぶりの低水準となる。

欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測を支えに昼過ぎまでは前日比で高く推移する場面が目立った。だが、12日の米株式市場で主要な株価指数が下げて始まると投資家心理が弱気に傾いてDAXも上げ幅を縮めた。

ユーロ圏主要50社で構成する株価指数の予想変動率を示す「Vストックス」は一時20台に上昇し、2023年10月以来の高水準をつけた。

 

 個別では、製薬大手サルトリアス(3.07%安)や高級車メーカーのポルシェ(2.52%安)、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズ(2.26%安)が売られた半面、電力大手RWE(3.67%高)や防衛大手ラインメタル(1.95%高)と買われた。




■フランス・パリ株価指数

フランスCAC40種指数は0.16%安(同0.63%安)だった。中東情勢の緊張の高まりを受け、欧州中央銀行(ECB)による早期利下げ期待を背景とした堅調な動きが一部相殺され、横ばいとなった。